セメントには、普通ポルトランドセメントを中心に多くの種類があります。お客様のニーズに基づいて、次々に開発された経緯があります。
硬化速度から分類しますと、標準品である普通ポルトランドセメントは、水と混練後、24時間で硬化しますが、硬化時間が、瞬結タイプのものから1時間で硬化するもの、3~4日後に硬化するものまで開発されています。
ここでは、ポルトランドセメント、混合セメント、特殊セメントの順にお話ししましょう。
1.ポルトランドセメント
ポルトランドセメントには、次の5種類のものがあります。
普通ポルトランドセメント
早強ポルトランドセメント
超早強ポルトランドセメント
中庸熱ポルトランドセメント
白色ポルトランドセメント
1.1 普通ポルトランドセメント
普通ポルトランドセメントは、現在生産されているセメントの約90%は、このセメントです。一般土木建築のコンクリート工事に広く使用されています。
1.2 早強ポルトランドセメント
早強ポルトランドセメントは、普通ポルトランドセメントより、化学組成
3CaO・SiO2(アリット)を多くしたセメントです。
特性として、
(1)早期に高強度を発現し、しかも長期にわたって強度増進します。
(2)普通ポルトランドセメントに比べて、曲げ強さが大きいです。
(3)コンクリートとして水密性が高いので、構造物の耐久性がすぐれています。
(4)低温時でも強さの発現が大きいので、冬期工事に有効です。
などです。
用途として、緊急工事、冬期工事、セメント2次製品、プレストレストコンクリートなどがあります。
1.3 超早強ポルトランドセメント
このセメントは、従来の早強ポルトランドセメントより、3CaO・SiO2 (アリット)を多くして2CaO・SiO2 (ベリット)を少なくして、微粉砕されたセメントで、早強セメントの3日強さを成型後24時間で発揮できます。
ワーカビリティーは良好で、収縮は、普通ポルトランドセメントより少ないといわれています。
用途として、緊急工事、寒中工事、セメント2次製品、グラウトなどがあります。
1.4 中庸熱ポルトランドセメント
セメントの化学組成として、水和熱を小さくするために、3CaO・SiO2(アリット)と3CaO・Al2O3(アルミン酸三カルシウム)を減じ、その代りに長期強さを発現する2CaO・SiO2を多くしたセメントです。
特性としては、
(1)水和熱は、普通ポルトランドセメントより低いので、マスコンクリート用に適しています。
(2)早期強さは、普通ポルトランドセメントより低いですが、長期強さは、普通ポルトランドセメントよりやや勝ることが多いのです。
(3)乾燥収縮は、小さいです。(4)化学抵抗性が大きく、耐硫酸塩性、耐酸性が強いです。
用途としては、ダムなどのマスコンクリート用、舗装用などがあります。
1.5 白色ポルトランドセメント
普通ポルトランドセメントのFe2O3の含有量が3%程度であるのに対して、白色ポルトランドセメントのそれは、0.3%以下に減じています。普通ポルトランドセメントの色は、Fe2O3とMgOの作用によるのですが、Fe2O3量を極端に減ずることによって、純白なセメントが得られるのです。また、少量の顔料を加えることによって、好みの色のセメントを得ることができます。
用途としては、構造用、塗装用、装飾用、採光用、標識用、人口大理石製造用、カラーセメント製造用などがあります。
つづく